エアロヴェロシティが高松宮記念回避 馬の疝痛の原因は? [趣味とスポーツ]
エアロヴェロシティが、今日競馬学校で疝痛を発症し、高松宮記念への出走を断念することになったそうです。
昨年の高松宮記念を制した香港馬エアロヴェロシティの疝痛の原因は何だったんでしょうか?
疝痛ってどんな病気なの?
疝痛とは腹痛のことで、一般には胃腸に原因があるものをさします。
馬の胃腸は疝痛を起こしやすいので、馬の病気の中でも運動機能に関係する病気の次に多く発生する病気で、放置しておくと、悪化して馬の命にかかわる怖い病気です。
牧場にいる馬は、1日中歩き回って低カロリーの草をたくさん食べます。
一方、競走馬は、集中的に強い運動をして、残りの大半の時間は動かずにいます。
食事は、1日の終わりに高カロリーの濃厚な飼料を食べます。
このような馬にとって不自然な生活が、競走馬の体調に問題をもたらします。
腸の蠕動運動が弱まれば、食べ物が腸内で発酵してガスが溜まりますが、馬は嘔吐できないので、消火器内での不調はいろいろな問題に繋がり易いのです。
疝痛は原因とその場所によっていろいろ種類があります。
1.過食疝
急激に餌を摂食した時に胃拡張になって疼痛を起こします。
悪化すると鼻から胃内容物が逆流して胃破裂に発展することもあります。
2.痙攣疝
寒冷、興奮、強調教による疲労、悪質な給餌のときになります。
疼痛の程度は比較的軽度です。
3.便秘疝
休養などで腸の蠕動運動が弱まると消化管内容物の貯留が生じます。
消化管内容は水分が減少して、糞は小さく硬くなります。
4.風気疝
消化管内にガス(メタン、窒素、炭酸ガス等)が異常発生して、消化管壁が拡張した時に激しい疼痛がみられます。
消化管に多量のガスが貯留すると、腹部が膨らむのが分かります。
通常、疝痛を起こすと馬の頸部から腹部にかけて発汗しているのがわかります。
5.変位疝
消化管の位置が変化したり、捻れたりするので、激しい疼痛を伴います。
軽度な結腸の変位では、回転によって自然に整腹することもあります。
重度な結腸の変位や小腸の捻転では消化管の血行障害が生じ腸が壊死(組織の死)するため、開腹手術をして消化管の切除します。
小腸の捻転すると激しい疼痛のため起立が困難な状況にあります。
頸部の発汗、腹部が著しく膨大します。
6.寄生疝
消化管に馬回虫、葉状条虫、円虫、糸状虫、馬蝿幼虫などが寄生すると、疝痛を誘発します。
- 馬回虫は小腸に寄生して、腸閉塞や腸破裂を引き起こします。
- 葉状条虫は回盲口周囲の盲腸粘膜に寄生して、回盲口の管腔狭窄、盲腸破裂および穿孔などを引き起こします。
- 円虫は前腸間膜壁に結節を形成します。
- 糸条虫は腹腔内に寄生し、腹膜炎を引き起こします。
- 馬蝿幼虫は胃の無腺部と腺部の境界に付着しており、寄生数が多くなると胃潰瘍や胃穿孔を引き起こします。
7.その他
最近、馬の胃にもヒトと同じように胃炎や胃潰瘍がみられます。
ストレスや鎮痛解熱剤の使用で発生することが知られています。
疝痛といっても、随分いろいろな種類があるんですね。
エアロヴェロシティの疝痛の原因は、どのケースなんでしょうか?
疝痛の見分け方
馬がお腹が痛いとは言わないので、馬の行動を見て疝痛かどうか判断します。
主な行動は、前足で掻く動作、せわしなくぐるぐる回る、横になる、餌の喰いが悪いなどです。
競走馬の生活を考えると、疝痛は競走馬の職業病ですね。
出典:やさしい育成技術 帯広畜産大学 獣医学科 助教授 佐々木 直樹
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